キャッシュフローを算出する計算式は何種類かあるため、非常に混同しやすいと思う。しかも、どの考え方を使うかで結果も異なる場合があるからたちが悪い。
まず、キャッシュフローを求める状況として以下の3パターンであることが多い。
①キャッシュフロー計算書の作成・・・制度会計
②現在価値計算(NPV)・・・管理会計
③企業価値計算(DCF)・・・ファイナンス
①場合は間接法と直接法があり、主に2期分のB/Sと当期のP/Lを使用します。
正確な書類作成が目的で、どちらの方法で計算しても同じ結果が得られます。
間接法では税引前当期純利益からスタートして
+非現金費用(減価償却費、貸倒引当金繰入)
-受取利息・配当
+支払利息
-売上債権増加額
-棚卸資産増加額
+支払い債務増加額
小計
+利息・配当の受取額
-利息の支払額
-法人税等の支払額
営業キャッシュフローが求められます
②の場合は、事例4でもお馴染みの設備投資の経済性を判断するNPV計算に登場します。
税引後CF=(現金収入-現金支出-減価償却費)x(1-税率)+減価償却費
=(現金収入-現金支出)x(1-税率)+減価償却費x税率
営業利益と運転資本額が与えられている場合は
税引後CF=営業利益x(1-税率)+減価償却費-運転資本増減額
③の場合は、FCFを求めWACCで割り引くことで企業価値を算出する状況です。
FCF=税引後営業利益+減価償却費-運転資本増減額-投資額
=営業CF+投資CF
ここでの「営業CF」は与えられている」CF計算書から数字を持ってくるぶんにはいいのですが、「税引後営業利益+減価償却費-運転資本増減額」の額がCF計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」と一致するわけではありません。
①、②、③は基本的に別物だと区別して考えろことが必要です。
問題の問われ方や与えられている条件から、どの数値を導き出すべきかを判断。
【問題】A社のフリーキャッシュフローを計算せよ
【A 社のデータ】
営業利益 200百万円
減価償却費 20百万円
売上債権の増加額 10百万円
棚卸資産の増加額 15百万円
仕入債務の減少額 5百万円
当期の設備投資額 40百万円
法人税率 40%
このような問題が出た場合、③の公式に当てはめれば
FCF=200x(1-0.4)+20-(10+15+5)-40=70(百万円)
となります。
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